社内旅行で箱根に行った時の話です。
私の会社は、社内旅行は決まって、女性社員が多くて4人、あとの15人くらいは社長も含めてみんな男性という編成で行きます。
何台かの車に分乗して行くので、行き道からもうすでに親しいグルーピーのようになります。
箱根の時も私ともう1人の女性社員、そして、Aさん Bさん Cさん の5人で仲良く盛り上がりました。
Aさんは私の姉の知り合いでもあり理知的で優しそうな人なので、私は結構な親しみを持っていました。Bさんはちょっと荒っぽいタイプでしたが、ギャグが面白くて、仕事も一本気にこなす人なので、それなりに信頼をおいていました。
ホテルで豪華な夕食の後、社長の意向でラウンジに移動し、みんなしたたか飲みます。少ない女性社員は忙しく水割りを作ったりカラオケを入れたり、暗黙のルールで水商売のようなことをし続けます。
全員がほぼヘベレケに出来上がった頃合いを絶妙に見計らって、女性社員は「じゃ、そろそろ失礼しまーす」とシレッと部屋に戻ります。
私は同僚の女性社員と、やれやれという感じで寝支度をすませ、とっとと寝たのですが、深い眠りに入ったその時、部屋の電話が鳴るのです。夜中の3時です。訳もわからず電話に出ると、Bさんなのです。完全にロレツの回らない状態で「ともかく、こっちの部屋に来い」と言うのです。
どうせ酔っ払い過ぎての奇行だとは思いましたが、とっさにどう対処していいやら分からず『勘弁して下さいよ』とでも言ってやろうと2人で行ったのです。
ノックをするとドアが開いてBさんが出てきました。そして私たちを見るなり廊下中に響く大声で「夜中に女がそんな寝巻き姿で来るなんて何のつもりなんだよ！何があっても責任取らねーぞ！早く入れ！」と怒鳴るのです。
思わずあっけに取られましたが「…とっくに休んでたんですけど…」と言うと、急に敬礼のポーズをとって「そうでしたか！スイマセンッ！どうぞお帰りください。」と頭を下げるのです。
部屋の奥にはAさんが缶ビール片手にニヤニヤしながら座ってこちらを見ていました。
もうウンザリもいいとこです。酒に飲まれるにも程があります。あわや犯罪じゃないですか。
翌日は、異例なんですが違う車と代わってもらい帰りました。
たとえ数秒でもその人の違う一面が出てしまうと、もう決して元のようには見られなくなりますよね。お酒なんて絶対言い訳にならないので気をつけてください。

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